追伸:このCDは岩手県一関市のジャズ喫茶、ベーカーでの録音です。
アマゾンで3つぐらい注文したんだが、ついに阿部薫のCDから届いたか。
「暗い日曜日」を買った。
この人の演奏には興味もなく、面白味も感じてなかったのだが、なぜかこの曲だけは気になったので。
でもこの人、薬物に溺れて奥さんを殴ったりしてたんだよなぁ。(子どもが生まれてからは殴らないと誓ったが、結局奥さんを殴ってしまい、離婚)
そして、阿部薫は自分を試すゲームのようにブロバリン98錠を飲み、血と胃液が混ざった吐瀉物を吐きながら、「俺はまだ死にたくない」と言いつつ死んだ。
で、奥さんの鈴木いづみは阿部薫が死んだとき、ようやく何かから解放されたような気分になるが、トラウマが残り続ける。後に寝ている娘の前でストッキングによる首吊り自殺。
なんだかなぁ。とんでもないものを買ってしまった気がする。
しかし、音楽は音楽だ。それ以上でも以下でもない。阿部薫の音楽は、最初は嫌いだったが、なぜか不思議な魅力に惹かれていく自分がいた。この人の演奏にハマってしまったら最後、この人の演奏でなければ「本質」を垣間見ることさえ叶わない気がしてしまう。
というわけで、憑依されないことだけを祈りつつ、阿部薫の死に物狂いの芸術を楽しもうと思う。
ちなみに、阿部薫は演奏中に「音」が思いつかないと何もしないで待つらしいのですが、このCDの1曲目「アカシアの雨がやむとき」の冒頭部と、2曲目の「アルト・サキソフォーン・ソロ・インプロヴィゼーション」で、若干の空白がありました。小説「エンドレス・ワルツ」のまんまです。本当だったのですね。
(アカシアの雨がやむとき、暗い日曜日、両方とも自殺ソングです・・・)
CDの解説より引用:
アルトサックスを口にくわえると、気弱そうなこの男は豹変した。阿部の一音は、客もほとんどいない「ベーシー※」の静まりかえった夜の空気を、まるで日本刀をはらったように切り裂いた。縦横無尽に宙を舞う阿部のサウンドは美しい絶叫であり、”魂”の安らぎを与える壮絶なものであった…。
※岩手県一関市にあるジャズ喫茶。日本一のジャズ喫茶と評された店。