サム・リヴァース「Vista」こそ、隠れ銘盤である理由。

白金台のクロミミラパンという珈琲屋の店長が言ってたのは、

「1杯1万円のコーヒーは年に4杯分だけ用意しているけれど、ほぼ自分用になる。まずうちのコーヒーを全種類飲んでいるとかでないと、味の違いが分からないから。」
ということだった。
ちなみに、私の知る限りでは日本一美味い珈琲店である。
 
ただ、それと同じく、フリージャズのサム・リヴァース(Sam Rivers)の音楽も、かなりマニアックな感じの曲は存在する。
サム・リヴァースを聴くなら最初からそういった難しいアルバムはお勧めしない。
まずは、
・Fuchsia swing song
・Contours
を聴くのをお勧めする。
(Fuchsiaはフクシアという花の名前で、Contoursは輪郭という意味だ。)
逆に、これを知らずしてサムを語ることは出来ないと断言する。
 
中級者になって来たら、今度は、
・Paragon
・Hues
をスポティファイで聴いて欲しい。
だが、なぜか知らないがこれら中級者用のアルバムはスポティファイから消されてしまった。(YouTubeには何曲かは載っているが。)
よってここを、中上級者向けの、
・Contrast
・Streams
に変えよう。
これならスポティファイでもYouTubeでも聴くことができる。
 
さて、ここまで一通り聴いたら、やっと上級者向けの、
の良さが分かるようになるだろう。
これもスポティファイやYouTubeで聴ける。
 
私はもはや、アイフォンに持ち歩くサム・リヴァースのアルバムは、VistaとContrastしか入れなくなった。
初級者向けのやつは耳が腐るほど聴いたので、飽きてしまったのだ。
 
実はこれ、初級〜上級まではだいたい年代順になっている。
初級が60年代のヒッピーの時代。
中級が70年代の哲学の時代。
上級のVistaが2000年代。
Vistaは熟しきった酒のように濃厚な音楽だ。
これこそが人生の最期までフリージャズを貫いた黒人男性の出した答えなのだ。