ボードレール「血の噴水」

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ボードレール「血の噴水」を訳してみました。
この詩は「悪の華(Les Fleurs du Mal)」という詩集の中に入っています。
参考にしたのは岩波文庫版「悪の華」で、この本は言葉をわざと難しい単語で羅列している感じですが、とても正確に訳されていると思います。
なぜ正確なのかというと、訳しやすいからでしょう。
少し後の世代のマラルメなどに比べると、圧倒で分かりやすい詩でした。
しかし、分かりやすいのに、読んでいると心に何かがガツンと来ます。
(本文)
シャルル・ボードレール「血の噴水(Fontaine de Sang)」
噴水がリズミカルに啜り泣いているので、
時々自分の血がどくどくと流れているように見える。
それが長く軽やかな音を立てているのはよく聴いているが、
その傷口を見つけようとしても私には全く分からない。
街中が、闘技場のように、
それは敷石を小島に変え、
あらゆる生き物の渇きを癒やし、
自然を赤色に染めてゆく。
一日中私を蝕むその恐れを眠らせるために、
欺瞞のワインにしばしば縋った;
しかしワインはその目を明瞭に、その耳を明晰にする!
私は愛の中に無自覚な眠りを探した;
しかし私にとっての愛とは、残酷な少女たちの喉を潤すために作られた、針の布団に過ぎない!

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