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武満徹「雨の呪文」。

演奏は、トロント・ニュー・ミュージック・アンサンブル。
フルートは、作曲家でもあるロバート・エイトケンが奏しています。
この作品は、完璧な演奏に加え、完璧な作曲だと思います。

動画の最初に楽器の説明がありますが、例えば、ハープはレ・シが四分音高く、ラ・ド・ファが四分音低く調弦されています。
また、普通のフェルマータに加え、ショート・フェルマータが使われています。
0:29~ピアノの弦端をミュートさせた音が鳴ります。
6:14~ピアノのピッチカートが鳴ります。

全てが妖しく溶け合う夢のよう。
楽器の使い方とフレーズの配置が絶妙であり、しかもそのフレーズは飴細工のように細かい指示のもと精巧に作られており、それらが交わって溶けるごとに優しい甘さが広がるかのよう。
他の現代音楽に比べたら、武満の感性は群を抜いていると思います。
もっと評価されても良いと思うのですが、やはりこの曲の良さを分かる人が少数なのでしょうね。

https://www.youtube.com/watch?v=F_E2rKxg3NE

 

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私は先ほどまで武満徹の「コロナ」という実験音楽即興曲を聴いていたのですが、即興よりもちゃんと記譜に従って奏される「雨の呪文」の方が楽曲として優れていると思います。
実験即興音楽は、奏者の感性によると思います。
なので、コロナという作品については、また別の記事で書くかもしれません。
ちなみに、なぜそんな不吉な名前の曲を聴いていたかというと、例えば「悪い夢を見ると潜在意識が浄化されて、起こるはずだった悪い出来事が起こらなくなる」などと言われているから、それに着想を得た厄除けの意味もあって聴いてみたのです。