「きみがいなければ、ぼくは無でしかない。天国があってはじめて、精霊が存在する。きみはぼくをしっかり支え守ってくれる天国だ」
気持ちは分かるけれど、クサいですね。
なぜこんなにもクサいのかというと、恐らくドイツ文学というやつは良くも悪くも「単細胞」だから。
暗い時はめちゃくちゃ暗いし、お花畑の時はめちゃくちゃお花畑、理詰めの時はめちゃくちゃ理詰め。
音楽でもだいたいそうでしょ。
私はドイツ文学を殆ど読んだことがないのですが、印象に残っている詩があります。
「野ばらは言った:私はあなたを棘でさすわ。あなたに忘れられないために」
これは、ゲーテ「野ばら」の2番の歌詞です。
原文ではちゃんと韻も踏まれていますし、シューベルトの音楽はこの歌詞のリズムにぴったんこかんかんです。
フランス文学は「色んな感情が複雑に混ざっていて、それを一つの作品に昇華させたりする」のですが、ドイツ文学は「ひたすらに一つの感情だけを味わい尽くす」感じ。
ちなみに、チェコ文学は「子どもがものを見ている視点で、それを大人の理性に落とし込む」感じで、ベルギー文学は「平和とグロテスクが共存している」感じ、ロシア文学は「信仰とリアリズムが共存している」感じ。