昨日は葉巻を吸わせてあげたので、間接キスまではOKのようだ。

ただし、もっともらしい理由がある場合の間接キスに限るだろうが。

葉巻の件をそんなに喜べなかった理由は、まず、あの子はエドンの高級葉巻を吸ってみて、口いっぱいにタバコ臭がして耐えられず、口を濯いだ挙句に口直しに食べ物を食べて、それで戻って来た。

そして、私がクレデンザ(電気蓄音器)にスマホを繋いで、音楽とジンと葉巻に陶酔しているのを見て、カッコつけのナルシスト臭を感じたらしく、向こうは引いている感じだった。

こちらは、そんなつもりはないのに。

ただ私は、「葉巻を喫茶店とかで吸っていると、『何こいつカッコつけてんの、ぷw』みたいに言われるけど、俺は純粋に味が美味いから吸っているだけだからさあ。そうじゃなかったら4400円も払わねえよw」と、本当のことを説明した。

そして、「もう、あいつのせいでストレスで胃が悪くなってるから、葉巻吸うのやめたわ。」と、これまた本当のことを言って、普通の紙巻きタバコに変えた。

そして私は、まどろんでいる顔を見せつけてカッコつけているみたいに思われたのか、相手は若干引いているようだったが、何しろ師匠の庭仕事のせいで疲れており、本当に眠かった。

ただ、あの子が山根明季子「Dots Collection No.4」という現代音楽をかけると、私は「これすごい良い曲だね。眠かったけど、眠気が吹き飛んだよ」と言うことで、今までは眠かったのだという事実を相手に知らしめることに成功し、誤解は晴れた。

その後、友達のような親しげな会話が続いた。

お互い、音が見えるという話もして盛り上がった。

私はジョン・コルトレーンの後期作品を3つ、長いものは途中までの再生でかけた。

あの子は、音楽再生中に寝そうになっていた。

私は、眠そうだったのでこれで最後にすると言い、ジョン・コルトレーン「セラフィック・ライト」という曲をかけた。

「Seraphic lightとセラフィックとは、セラフィムのこと。セラフィムって何か分かる?(中略)この曲を聴くと、泣きはしないけど涙が込み上げてくるよ。よく死ぬ直前にこんな名作を残してくれたよなと。現実が辛すぎて、聖書にすがるしかなかったんだろうなって。」

私は力説したが、彼女は寝落ちしていたw

曲が終わると彼女は起きてきた。


クレデンザ編、ここで終わり。