ポール・ヴェルレーヌ「パリジャンの素描」

(Facebook投稿記事)


ポール・ヴェルレーヌ「パリジャンの素描」という詩を翻訳しました。


1866年に発行された「サチュルニアン詩集」の中の「エッチング(Eaux-Fortes)」という章に収録された、とても美しい詩です。

私にとって、この詩を見つけられたことは奇跡であり、こういう喜びがあるから詩の翻訳はやめられないのです。


(本文)


「パリジャンの素描」ー「エッチング」フランソワ・コペに


月は亜鉛の色合いをめっきしていた

鈍角によって。

五つの形をした煙の断片は

高く尖った屋根たちから厚く黒く出てきた。


空は灰色だった。そよ風は泣いていた

ファゴットのように。

遠くには、寒がりで地味な雄猫が

奇妙に呼び掛ける振る舞いでニャーと鳴いていた。


私は、私はプラトンの神を夢見ていた

そしてペイディアス(1)も、

サラミース(2)マラトン(3)も、

青いガス灯たちの点滅する下で。


(1)古代ギリシャの彫刻家・画家・建築家の名。

(2)ギリシャ神話の女神あるいは女性の名。

(3)ギリシャにある村の名。