ステファヌ・マラルメの詩「Surgi de la croupe et du bond」を訳しました。

(Facebook投稿記事)


ステファヌ・マラルメの詩「Surgi de la croupe et du bond(スルジ・ドゥ・ラ・クループ・エ・デュ・ボン)」を訳しました。


ラヴェルの歌曲にも採用された詩です。

なお、本来の詩の題名は「Ⅱ(無題の2作目)」となっており、渡辺守章訳でもそうなっています。

しかし、歌曲の題名は「『ステファヌ・マラルメによる3つの詩』より~臀部より出でて、ひと跳びで」となっており、そちらの言い方のほうが有名なようです。


自分で訳してみて改めて思ったのは、日本のフランス文学界の権威であろう渡辺守章訳がいかにクソ訳かが分かったということです。

あんなものを読んだ所で、マラルメの詩について理解できるわけがありません。

訳者自身が意味不明なままそれを推敲する時間も割かず、難しい単語を並べ立てることによって張りぼての権威だけは主張して出版に至るという。

ということは、岩波文庫という会社は基本、権威というものに弱く、物事の本質を見抜けず、人を見る目がなかったということも充分に考えられるでしょう。


ただし、私のこの訳でさえも間違っている可能性はあると思います。

なので、そういった正しい批判があるならば、むしろ意欲的に受け付けております。

なお、梅丘歌曲会館というサイトによるこの詩の訳でさえも、フランス語原文と照らし合わせてみると文脈的に怪しく「無理をしたな」と思われる部分が多い気がするため、私は現時点にて信用するには至っておりません。


(本文)


脆いガラス製品の膨らみから

弾みながら飛び出て来て

激しい警戒心の花も咲かせずに

気付かれることもなくその頸は折られるの。


私は二つの口から飲まれることはないと確信しているわ

恋人も母親もないのだから、

夢物語と同じことは決してなく、

シルフである私はその冷たい天井へ!


赤裸々な花瓶に飲み物はなく

あるのは尽きることない寡の時代なのに

受け入れられずに瀕しているの。


純粋な口づけなんて、とてもおぞましいわ!

死ぬことを知らせてくれるような

闇の中の一本の薔薇すらないのだから。