ラヴェル「夜蛾」は、出版前のファルグの詩を引用していた。

作曲家ラヴェル組曲「鏡」を完成させたのは1905年。(楽譜の出版は1906年。)

一方で、詩人ファルグが「Poemes」を完成させ出版したのは1912年。

 

ラヴェル「鏡」のうち、第一曲目「夜蛾」を、ファルグの詩の一節からインスピレーションを受けて作曲した。

そして、その「夜蛾」という曲はファルグに捧げられた。

ところが、その引用した詩の一節「納屋から納屋へ飛び回る蛾のうち、左に飛んだものはハンガーに蝶ネクタイを作る」は、先ほど述べたファルグの「Poemes」の中に入っているのだ。

なお、その散文詩のタイトルは無題であり、「影の短い小さな駅」という一節から始まり、前述の通り1912年に出版されたもの。

 

ということは、ラヴェルは出版前のファルグの詩を引用していることになる。

二人ともアパッシュという芸術家集団に在籍していたので、それは可能だろうと思われる。

もしかしたら、未完成の状態の詩から引用したのかもしれない。