(Facebook投稿記事)
G.H.ハーディ/E.M.ライト「数論入門II」、読了。
数論入門I、IIと読みましたが、II巻の方が難しく、理解出来たのは全体の3割ほどだと感じます。
ただ、これを読んで得られた最大の恩恵が、Wikipediaの数学記事を読めるようになったことです。
Wikipediaの数学記事は専門家が読む用途で書かれているため鬼のように難解だと思っていたのですが、今では痒い所に手が届く親切な記事だと思えるようになりました。
そして、内容ですが、個人的に感動したものを載せて行きます。
y^2=x^3+7 (ワイ2乗イコールエックス3乗足す7)
は、整数解を持たない。
なお、この式は実際、有理数解を持たないそうです。
整数は有理数の中に含まれます。
発見したのはジーゲルです。
y^2=x^3-2
の整数解は(x,y)=(3,±5)に限る。
発見したのはフェルマーです。
これら2つの式が何の役に立つかというと、途中で色々複雑な計算をした結果、次のことが分かります。
(引用、p.199)
Eを有理数を係数に持つ方程式で与えられる楕円曲線とし、P1,P2,P3…∈E(Q)を互いに異なる有理点の列とする。Piのx座標を分数の形xPi=αi/βiで書く。このとき、
lim i→∞ log|αi| / log|βi|=1
が成り立つ。
(引用、終わり)
楕円曲線については、Google画像検索をすればどういう形なのかが分かります。
また、「∈」という記号は「左のものが右のものに含まれる」という意味であり、上記だと「P群がE(Q)群に含まれる」ことを意味します。
含む側が引っ張っている「手」の形だと思えば覚えやすいと思います。
そして、「有理点」とは座標の点(x,y)が有理数である点のことで、xもyも有理数であることが条件です。
log|αi|(ログ絶対値アルファアイ)とは、10をαiにするためには10を何乗すれば良いかということです。
(10という数字はしばしばlogでは省略されます。)
絶対値とは、マイナスになってもプラスにしろ、プラスの時はプラスのままにしろ、という意味です。
この式、何が凄いかというと、答えが1になることです。
Piのx座標において、式の中のiと書かれた部分を∞に近づけていけば、答えが1になるということです。
これだけ複雑な式なのに、答えは必ず1なのです。
この発見には驚きました。
他にもこの本の内容としては。
高校数学では判別式(b^2=4ac)の解が0より多ければ実数解が2つ、0ならば実数解が1つ、0より少なければ複素数解が2つと習ったかと思います。
実はこの判別式というのは楕円曲線などでもありますが、判別式そのものが時と場合によって違います。
高校数学で習ったものとは全然違う、もっと複雑な判別式なのです。
以上、私は数論入門を2巻分読んだため土台は固まりました。
これにより、次は本格的な数論の本に挑戦出来たらと思っております。