ワルツ「他人の顔」をバックに俳優が語る台詞。

Facebookに投稿した内容と被りますが。

 

以下は、映画のワンシーンであり、ワルツ「他人の顔」をバックに俳優が語る台詞。

「他人の顔」という話は、安倍公房が原作。

ちなみに、この映画はYouTubeに全編載っているので、何度も見た。

化学工場の事故で顔に醜い火傷を負った主人公が、イケメンの顔から型を取った本物そっくりの「仮面」で日常生活をするという話。

仮面の姿で奥さんを誘惑するシーンもあるが、結局、奥さんは最初から気づいていたという。

あんまり言うとネタバレしてしまうな。

「あなた、ビールなんぞに酔っているんじゃない。仮面に酔っているんです。」

被験者:仲代達矢精神科医平幹二朗

音楽:武満徹、ドイツ語歌詞:岩淵達治。

https://www.youtube.com/watch?v=Mjb44VhZzx4

 

(台詞:上記動画1:07~開始)

 

「しかし果たして、君が仮面に馴染んだのか、それとも仮面が君に馴染んだのか」
「いやぁ、先生は偉い。さすがに専門家だけのことはある。先々のことまでずーっとお見通しだ」
「酔いましたね?」
「いけませんか?」
「いや、大いに結構」
「自制心を失くした方が、観察するのに都合が好いわけでしょ?」
「その通り」
「あ、僕にもおかわりね」

「はて今より始めてるのは果たして僕自身なのか、それとも仮面なのか」
「その返事は是非とも訊かせて貰いたい所だなぁ」
「分かるもんすか、そんなことは」

「あ、それはそうと、そろそろ新しい自分の名前や、仕事の計画」
「なぜ?」
「いや、決まってないならば構わない」
「名前や仕事や実生活の方は、包帯を巻いたままでも結構やってけますからね」
「仮面の方はそんなものには拘らずにのびのびとやっていく?」
「人並みの生活感情を味わってみるだけのことですよ」
「とは言えないよね」

「あなたこの間、麻薬を打った上にビールを二杯開けて何でもなかった。しかし、今夜は、薬の力も借りずにジョッキ一杯半でもうその調子だ。分かりますか?」
「あなた、ビールなんぞに酔っているんじゃない。仮面に酔っているんです」
「まさかぁ」