釜堀弘隆・川村隆一「トコトン図解 気象学入門」、読了。

(Facebook投稿記事)

 

釜堀弘隆・川村隆一「トコトン図解 気象学入門」、読了。

 

初めて読了まで辿り着いた、数式のある理系書です。

説明がかなり分かりやすいので、初心者でも読めます。

なお、数式はほんの少ししか登場しませんが、ラウンドとexpだけは知っておく必要があります。

 

ラウンド(∂)とは、「その成分だけで微分する」という意味です。

例えば、「∂θ/∂z」と出ていたら、「θという情報の中から、高さzメートルで微分する」という意味になります。

 

また、「exp」というのは、「ネイピア数eを何乗するのか」という意味になります。

例えば、exp[-2]というのは、1/e^2(e2乗分の1)ということになります。

 

なお、気象学については積み重ねが必要なので、ここで説明しても誰も読んでくれそうにないため()、詳しいことは省きます。

前に読んだ雑誌ニュートンの復習も兼ねて、高気圧や低気圧など、大気循環のコネクションが色んな規模で起きていることや、海水の循環のこと、更には気象観測機器についての説明が分かりやすく載っていました。

個人的には、気象観測機器であるラジオゾンデやアルゴフロートの章がアツいです。

その他は、大気の循環やコリオリ力などについての無味乾燥とした説明がずっと続く感じです。

 

ただ、「天明の大飢饉」の原因については目から鱗が落ちました。

それは、どうも1783年に起きたアイスランドのラキ山の大噴火によるものだという説が有力だそうです。

我々の住んでいる環境は対流圏にありますが、その一つ上には成層圏があります。

成層圏では雲が出来ずに雨が降らないため、火山灰(亜硫酸ガス+雲粒硫酸エアロゾル)成層圏に達すると、23年は落ちて来ないのです。

そのため、噴火後は日射量が減るのです。

そして、米が不作になるということです。

まさかアイスランドに原因があるとは思いも寄りませんでした。

ちなみに、1991年のフィリピンのピナツボ山大噴火は、日本に冷害をもたらし、米の不作となり、その頃の人たちは輸入されたタイ米ばかりを食べていたはずです。

 

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