Sabine Liebner「John Cage ONE - ONE² - ONE⁵」というCDを購入。

(Facebook投稿記事)

 

Sabine Liebnerの奏する「John Cage ONE - ONE² - ONE⁵」というCDを購入。

作品自体は1987年作であり、ジョン・ケージの晩年作品となります。
そして、ケージの中ではSabine Liebner(ザビーネ・リープナー)氏の演奏が一番好きであり、それを無損失音源で聴くためにCDの購入へと至りました。
なお、「ONE」という数字の意味は、一人で演奏するという演奏人数のことだそうです。

1.ONE (10分15秒)
2.ONE²(40分49秒)
3.ONE⁵(20分35秒)

ちなみに、ケージの楽曲を聴くコツとしては、ある音が鳴ったら次の音が出るまでの「期待」を維持して下さい。
そうしないと、音が途切れた瞬間に脳がそれらを別々の曲だと認識してしまい、自分の中で音楽としての繋がりが絶たれてしまってとても退屈なものになるからです。

さて、この作品の何が良いと思えるのか。
それを一言で表わすならば、色々な意味で無駄がないからです。
そして、1985年作の「ASLSP」よりも1987年作の「ONE」の方が良いと思えます。
なぜなら、「ONE」のほうが音の配列が大人びており、一音一音の組み合わせが絶妙なのです。
つまり、私は「ASLSP」も確かに好きではあるものの、聴いた感じ音の配列が少し子供っぽいと感じています。
このように、晩年のたった2年間でもケージの芸術性はちゃんと熟成されているのが分かります。

私は元々ケージの音楽が好きではなかったものの、様々な音楽鑑賞を経由したのち辿り着いたのが後期ケージの芸術性でした。
ざっと云うならば、フリージャズ→現代音楽→自然音(ミュジーク・コンクレート)→後期ケージ作品の順に辿りました。
ちなみに、前期・中期のケージ作品は依然としてあまり好んではいませんし、依然として駄作も多いと思っています。

自然現象を突き詰めると、楽譜の一音そのものの価値に辿り着いたのがモートン・フェルドマンだと言われています。
反対に、音楽そのものを追求すると自然概念に回帰するのがジョン・ケージだと言われています。
少し前の私ならば、「ケージの音楽は音楽性そのものが破壊されており、中身がない。フェルドマンの方が上手(うわて)だ」と豪語していた時期があります。
しかし、今の私ならば、ケージには空白そのものの味を舌で感じ取る能力が他の誰よりも勝っているため、自然との調和によって音符と空白を誰よりも自在に操ることが出来るケージの方が一枚上手だと感じます。

https://www.youtube.com/watch?v=kaqUOQUOydw&list=OLAK5uy_luw6vepG0J87oEonqc9No9eOwaj8jgkuY