吾輩は猫である、より引用。
「昔し以太利(イタリー)の大家アンドレア・デル・サルトが言った事がある。
画をかくなら何でも自然その物を写せ。
天に星辰(※1)あり。
地に露華(※2)あり。
飛ぶに禽(とり)あり。
走るに獣あり。
池に金魚あり。
枯木(こぼく)に寒鴉(かんあ)(※3)あり。
自然はこれ一幅の大活画なりと。」
※1 星のこと。
※2 露を花にたとえた形容。
※3 寒鴉は冬の烏。枯木に烏のとまっている淋しい冬の光景をいう。
ちなみにこの話、サルトが本当に言った言葉ではない。
「実は君、あれは出鱈目だよ。」と、後に返される。