海ほたる風の塔

「海ほたる風の塔


薄花色の空と
藍鉄色の海
境目に真昼の靄
風の塔は白い顔で微笑む

猫の舌のような風貌で
滑滑の肌は現代日本の生まれを表わす

人の賑わいや
日に当たる大きな飼い犬たちを
釈迦如来立像のように優しく見守る
五感がなくともわかるのだ
五感がなくとも
時の狭間を身体で感じている

(解説)
パーキングエリア「海ほたる」から見える、「風の塔」という建物を見て書いた自作詩。
Facebookには載せず、ここに載せることにした。

(中央の小さい半円の白い建物が、風の塔↓)

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(写真だと小さいが、実際は等身大ほどに見えている。)


薄花色、藍鉄色はともに、昔から日本にある青色の種類。

「すべすべの肌は現代日本の生まれを表わす」について。
風力発電機やモダンなビルなどは、現代の日本の建築物にはよくあるすべすべ感のある形をしており、この風の塔という建築物も、日本人が創ったとしか思えない独特の形状をしていることから。

「五感がなくともわかるのだ」。
風の塔という建物が、人や飼い犬などを向こう側から見ているような位置にあるから。
建物には五感がないが、もしこの建物が生きているのならば、五感以外の所で我々を見ているだろう、というアニミズム的な表現。

「五感がなくとも時の狭間を身体で感じている」について。
一刻一刻の時を、無意識のうちに身体で感じるということ。
建物を人の感覚に見立てたアニミズム的な表現。