自作詩「レトロな喫茶店」

(Facebook投稿、自作の詩)



「レトロな喫茶店


小さな無地のカップに浅煎りの珈琲が、白色たちの戯れの中、独り、水底のように沈んでいる。

客の意向に忠実な、小さな白い机。

指を掴んで離さない、芳香剤の匂い。

有線からのカーペンターズに顔はない。

窓のレース編みのカーテンは調和しながら微笑む。

傘をかぶった電球は、気さくな性格のまま、存在しない規律を守る。


忘却と蕩尽と新たな明晰を知る一つの流れでもあるこの空間は、完璧主義の眼には見ることの出来ない、手作りの隠れ家のようなもの。


居場所を求めてやってくる老女は、その謙虚さゆえに、自身が多少なりとも魔法使いに毛の生えた存在であるかもしれないことを知らない。


Voilà ici...