郵便-誤配システム

シニフィアン(記号)は、シニフィエ(記号により思考されたもの)を指す。

「木」という単語は、「幹があって地面に立っている植物」を指す。

記号は、記号が表わすそのものを指す。

 

ところが、シニフィアンが必ずしも一つのシニフィエに辿り着くわけではない。

デリダが言いたいのはそこで、これを郵便-誤配システムという。

つまり、意識の中において、「(シニフィアンという)手紙を出した宛先(シニフィエ)が、違う宛先に届いてしまう」ということ。

色々な意味に捉えられてしまう言葉は、色々な所に撒かれて育っていく種のようなものである。

だからこそ、これを「散種」という。

 

ちなみに、届かない手紙も存在する。

それを「シニフィエなきシニフィアン」という。

デリダは、「不可能なものに与えられる名」を、シニフィエなきシニフィアンとした。

ラカンは、「死の欲動」を、シニフィエなきシニフィアンとした。