日本気象学会「細氷」33号(1987)の論文を読んでみた。

(Facebook投稿記事)

 

日本気象学会「細氷」33(1987)の論文を読んでみました。

http://www.metsoc-hokkaido.jp/saihyo/pdf/saihyo33/saihyo33-045.pdf

 

全部で24ページあり、主に地表面付近(接地層)の風の流れやスペクトルについて書かれていました。

ちょっとイレギュラーな言い方をすれば、都会に居ながらにして、自然に触れることが出来た気分です。

内容は難しいですが、よく読めば簡単な項目もちらほらあったので、全体の3割くらいは理解出来たかな

なお、20ページ目の「煙の拡散」の第23図などは、比較的誰でも理解出来ると思います。

 

8ページ目にある「モニン・オブコフの長さ」というのは、色々なことに使えるマスターキー的な数字だそうですね。

特に、高さzをモニンオブコフ長Lで割ったもの(=z/L)がよく使われているようで、大気の安定度を表わすそうです。

そして、モニンオブコフ長の数式の中にある熱鉛直フラックスのことについてですが、H0がもし顕熱のことだとすると、熱鉛直フラックスの単位は「キロジュール2×温度(ケルビン)」となるはず。

 

一つ思ったのは。

例えばの話、数式の単位で「m^-2(メートルのマイナス2)」と出て来たとしますが、これはつまり「1/m^2(平方メートル分の1)」と同義です。

その場合、「メートルの2乗で割る」と考えても正しいのですが、私はそれを「1つの平方メートルの中に入っているもの」と考えた方が理解しやすいことに気付きました。

要するに、「分母に書かれている1つのそれの中に、分子のものが入っている」という考え方です。

例えば「W/m^2」だとしたら、「1つの平方メートルの中に、どれくらいワットが入っているか」ということになりますしね。

 

つまり、モニン・オブコフの長さは、

L = u*^3CpρT / κgH0

なので、

「摩擦速度の3×比熱×空気密度×気温」が、

一つの「カルマン定数0.33×重力の加速度×顕熱の初期値」の中に入っているということになります。

 

そして、z/Lというのは、高さzをモニンオブコフ長で割ったものとなります。

つまり、モニンオブコフ長とは、これだけの要素をぎゅっと一つの数字に入れているということになります。

 

他にも、「風って、我々のいる場所(接地層)では昼過ぎに一番強く吹くけど、上空200mの所では夕方ぐらいが一番強く吹くんだな」、「上空では横長の渦になると天気は安定し、縦長の渦になると気流が上がったり下がったりして、凝結し、雨が降りやすくなる」などということが読み取れました。

 

なお、21ページ目以後に出てくる第5表の「パスキル安定度」は、Fが一番安定していて、Aが一番不安定という意味です。