メシアン「聖体秘蹟の書」は本当に聴き応えがある。

何回聴いてもダシが取れるし、何回聴いてもその度に疲れる。

 

↓聖体秘蹟の書は、下記アルバムの「ディスク6」から。

https://open.spotify.com/album/6yxufIUfwxiOXlnAFkSSjX?si=HZVjRJDQQvusycuz2Veg3g

 

この曲集のテーマとなるモチーフは一応あるけど、かなり少ない。

つまり、だいたいは曲ごとに曲調が違う。

なのに、全然違う曲の組み合わせでも、全体を通すと何かが一致している感じがする。

ゆえにこれは、2時間かけて通して聴くべき曲集だ。

 

あと、鳥の声もたまに入っていて、例えば8曲目の「聖体の秘蹟の制定」なんかでは、ヨーロッパシジュウカラあたりと思われる鳥の鳴き声がオルガンで演奏される。

ヨーロッパシジュウカラは、実際にあれくらいやや遅いテンポで鳴く鳥だ。

 

 

ところで。

現在、個人的な基準で選んだ三大作曲家は以下の通り。

 

ジョン・ケージ

ジョン・コルトレーン

オリヴィエ・メシアン

 

ケージはキノコ博士で、メシアンは鳥類学者。

コルトレーンは熱心なインド宗教徒。

なお、後期のコルトレーンは、フリージャズという自然現象っぽいものに回帰した。

そして、音楽そのものを突き詰めて行くと自然現象に回帰したというのがケージ。

私の好きなこれらの作曲家は皆、自然に回帰しているような気がする。

 

そう言うと、「もう自然音だけ聴いていれば良いんじゃね?」とか、「外に出れば自然音が聴こえてくるんだから、音楽とか要らなくね?」などと言われそうだが、違うんだ。

どうかそこら辺を誤解しないで欲しい。

「一周回って自然現象」だからこそ、見えてくる世界があるんだわ。

この辿った軌跡だけは、生涯における宝物なんだわ。

単に自然音を聴いていただけでは、センスが育たない。

センス(感性)は宝物なんだ。

 

 

そろそろメシアンの最高傑作を決めたいと思っていた所だが。

晩年に作曲されたこの「聖体秘蹟の書」こそ、メシアンの最高傑作なのでは?と思う。

まあ、「鳥のカタログ」とどっちを最高傑作にするかで迷うけど。

鳥のカタログも良いけど、メシアンはオルガンに人生を捧げて生きた気がしなくもないんだ。

ちなみに、上記のハンス=オラ・エリクソンの奏するオルガンは、スウェーデンのルーレオー大聖堂にあるGrönlund(ゲランルンド)社のオルガンだそうで、かなり透き通った良い音がする。

オルガン曲の名盤は、オルガンの種類でだいたい決まると言っても過言ではないだろう。