メシアン「聖体秘蹟の書」の聴き方

 メシアン「聖体秘蹟の書」の掴みどころが分かって来た。

これは、ストーリー仕立てであり、れっきとした標題音楽なわけだ。

なお、ストーリーはそのまま1曲目から順に繋がっている模様。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/聖体秘蹟の書

 

音楽としては、一曲一曲が完全にバラバラなわけではなく同じテーマが別の曲中に登場することもあるが、顕著ではない。

聴く前には、必ず曲のタイトルを見てから聴くこと。

そして、このアルバムはストーリー性を重視するあまり、音楽の緊張感をやや犠牲にしている。

つまり、音楽性を犠牲にしているので、聴いてもいまいち掴みどころが分かりづらかったというわけだ。

 

この作品はかなり晩年に作られたもの。

まるでメシアンが音楽よりも聖書に帰依したかのように思えるくらい、音楽の構造そのものを少し脱構築した、新しい音楽性を作ろうとした動きが見て取れる。

まあそれは、既に「鳥のカタログ」の時に音楽性を若干捨てていて、それの延長上なわけだけれども。

ちなみに、資料がないと思うので、どんなストーリーに従って曲が書かれているのかは分からず、物語のシーンが曲のパーツごとに同期出来ない。

なので、聖書を読めば、それは何となく分かるだろうと思われる。

まあ、もしかしたら楽譜に小さくメモ書きが書かれているのかもしれないが。

 

なるほど、これは確かに深い音楽だと思える。

ちなみに、私が一番好きなのは、16曲目「聖体拝受後の祈り」。

それは、このアルバム中にていくつかの曲に使われるテーマとして、「ミ↑シラミー」で始まる静かな曲だ。

 

参考音源↓

https://open.spotify.com/album/35Ge11PZWediswUG3LkLsa?si=jMXY9gBLRiC4wWeDXkpYTA

 

音楽を学んでいて、本当に良かった。

一時は音楽そのものに芸術性の限界があるのではないかと勘繰ったこともあったけど、実際はそんなことはなく、掘り下げて行けば行くほどもっと深い所に到達していった。