(Facebook投稿記事)
ロバート・グリーンラー「太陽からの贈りもの」、読了。
気象光学の本ですが、数式は一切登場しません。
分かりやすくて、良い本でした。
ただ、理系科目の本は総じて中身が濃いため、全て説明していたら図説入りの長文になってしまうため、個人的に興味深いと思った箇所だけを掻い摘んで説明します。
まず、蜃気楼が起こる理由について。
光は、密度の高い方の空気へと流れて行きます。
そして、高温の所よりも、低温の所の方が気圧が高く、密度も高いのです。
よって、光は低温の方へと屈折して行きます。
もし砂漠で地面が熱い場合、すぐ上の空気の方が冷たいことになります。
その場合、写真1枚目の椰子の木のような蜃気楼が起こります。
これを下位蜃気楼と言います。
その際、光は上方に曲げられます。
そして、観測者が椰子の木から遠ざかれば遠ざかるほど、椰子の木は上下で合体し、やがて何もなくなります。
この上下の境目のことを消失点と言います。
反対に、水面が雪解け水で冷たい場合、写真2枚目の船のようになります。
これを上位蜃気楼と言います。
その際、光は下方に曲げられます。
観測者が近づけば近づくほど、船は上下で合体します。
このことから考えると、大気の層を通過する光は全て少しだけ曲げられているということでもあります。
なぜなら、大気の層は、地平線に平行であればあるほど、通過する距離が長いからです。
ということは、太陽が完全に沈みきっていても、我々の目にはまだ太陽がギリギリ沈んでいないで地平線上にあるかのように見えているのです。
そして、我々が見ている星は、実際よりも高い場所に見えているのです。
なお、この本のメインの話は、ハロについてです。
ハロとは、氷晶によって太陽の周りに出来る輪のことです。
これは、水滴によって太陽の反対側に出来る虹とは異なる現象です。
ハロについて、すごく簡潔に説明します。
例えば、普通のハロ(視直径22度のハロ)は、理科室にあった60度プリズムと同じ原理です。
また、稀に見る二重のハロのうち、外側にあるものは視直径46度であり、これは90度プリズムと同じ原理で起こります。
これらは、空に浮かんだ氷の結晶を通る光の屈折によって出来ます。
しかし、上述の通り、それらのことについて詳しく書くと文字数と写真がもっと増えてしまって誰も読んでくれなくなるため、この辺にしておきます。
https://www.amazon.co.jp/太陽からの贈りもの―虹、ハロ、光輪、蜃気楼-ロバート-グリーンラー/dp/4621037382