私の知る限りで、最も難しいフランス語の翻訳はアンドレ・ブルトンかもしれない。
ブルトンの未翻訳の本は沢山ある。
何が難しいかって、文章そのものが理不尽。
どれほど右脳の発達した発想力と共感力のある人でも、完全に理解して訳することは不可能に近いと思う。
今、日本語訳されたブルトンの「シュルレアリスムと絵画」を読んでいるが。
p.30
「それでもなおいま話題にしている人物が、身近な対象同士の関係の、だが私たちの注意力に直結する対象のあいだのみに生じうる具体的関係の巨匠にとどまっている、といったところで何になろうか?」
何だよ、「具体的関係の巨匠」って。
要するに、この文章だとジョルジュ・ブラックの絵画に描かれた対象同士に関係があって、その関係を象徴する(=巨匠)という。
そして、それを言った所で何の芸術的発展があろうか?という意味だと思う。