何でブルトンの「シュルレアリスムと絵画」という大作を今読んでいるかというと。
ブルトンの思想に「共感」したいんだよね。
シュルレアリスム絵画の見方って、こうすればいいのかっていう。
ただ、難しいので、同じ所を2〜3回読まないと頭に入って来ない箇所も沢山ある。
エンリコ・ドナティの絵画について。
要するに、この世は神の作った幻なのか、それとも物質は普通に存在するものなのか、という神学論争だろう。
(唯名論というのは、聖書に「世の中の一番初めには言葉があった」と書かれていることから、この世の全てのものは名前しかないとする論のことだろう。)
それがブルトンの時代になって、エンリコ・ドナティがその論争を仲介するような絵画を生み出しているという。
その絵画は、ぐちゃぐちゃなのに、具体的なのだ。
一見すると抽象画なのかと思いきや、時計などの形(テクスチャー)はそのままちゃんと描かれていることから、具象画の要素も含んでいるとのこと。
ちなみに、エンリコ・ドナティは1909年生まれだが、2008年まで生きていた。
私が大学2年の頃、99歳で亡くなったということだ。