(Facebook投稿記事)
Philip Samartzis「Atmospheres And Disturbances」というCD。
日本語に訳すと「大気と撹乱」になります。
私は無損失WAV.ファイルのデジタルアルバムで購入しました。
これは「ミュージック・コンクレート」という現代音楽に属し、自然音に電子音を加えたものをそう呼びます。
なお、このアルバムはスイス・ユングフラウヨッホにある高地研究ステーションにて、全指向性マイクなどの多種類のマイクを駆使して録音されたものだそうです。
自然音がメインの作品であるにも拘らず、曲には起承転結が備わっており、芸術性を感じられます。
1.Wind
山の風の音がメインであり、だんだん風が強くなって行きます。
中盤からは嵐へと変わり、最後はフェードアウトするように風の動きが止みます。
2.Station
最初は雨のような音から始まり、前半が進む頃には飛行機の通過する音が聴こえて来て、後半に入ると金属的な電子音の合奏となります。
雨音から電子音への移行には不自然さをあまり感じさせない技巧があります。
終盤には雨音が再び出て来て電子音との合奏になりますが、最後は電子音のみで終わります。
なお、雨音には水の流れる音が含まれていますが、これは水中にハイドロフォンを設置して録音されたそうです。
3.Melt
雨音から始まるのは先程のStationに似ていますが、こちらは雷が鳴っているようです。
そして、後半に入ると雪を踏むような音が入り、鳥の鳴き声も入ります。
4.Tunnels
始めにドイツ語にて駅のアナウンスのような声が流れ、次第に電子音が大きくなって行き、そしてトンネルに電車が通ったような音が鳴ります。
ただ、その後で流れる金属的な音は恐らく作者が「産業音」と呼ぶものだと思われますが、具体的に何の音なのかは私には分かりません。
そして、ざわざわとした音が大きくなって行った末に、いきなり無音になって終わります。
5.Valley
風の音から始まって、川の流れと雷の音が入ります。
中盤からは、オーケストラ用ではない民族的なカウベルが鳴り続け、少数民族の声も入ります。
6.Wind (excerpt)
こちらも1曲目と同じく、山に吹く風の音がメインです。
少し進んだ所で、小雨が金属板の屋根のようなものに当たる音も加わります。
そして、だんだん風と雨が激しくなって行き、雹のようなものが地面にぶつかるような音も聴こえて来ます。
この曲は自然音そのものの素材を生かしており、電子音はなかったように思えます。
そして、最後は曲が激しくなって行き、そのまま短いフェードアウトで終わります。
https://room40.bandcamp.com/album/atmospheres-and-disturbances