William Parker「Luc's Lantern」というジャズ・アルバムを購入しました。

(Facebook投稿記事)


William Parker「Luc's Lantern」というジャズ・アルバムを購入しました。
ピアノは日本人の山本恵理さんです。

全体的に「影のある格好良さ」を求めた曲調となっており、短調が多めです。
また、このアルバムは意図的にピッチをかなり低めに設定しているようなので、絶対音感保持者は不思議な魅力を感じるかもしれません。
そして、美しくシュールな文章が一曲ごとに添えられていますが、それを読んだ所で標題の意図は不明なままでした。

なお、Spotifyにも音源が落ちていますが、CDの方が断然音が良いです。


1.Adena
アデナとはインディアンの文明の一つです。
ただし、説明文を読むと「亡命したチアリーダーのアパートの外で、スコッティ・ホルトの手に長い間忘れられていました。誰が警官から隠れていますか。」と書かれてあり、作曲の意図は謎です。
ただ、その短調の旋律は非常に頭に残りやすく、このアルバムの中では一番好きな曲です。
なお、和声では対斜というマイナスの現象が起きていますが、この曲自体が素晴らしいので私は特に気になりません。


2.Song For Tyler
溜め息が出るような、ゆっくり目の曲です。
このアルバムの中では二番目に好きな曲です。


3.Mourning Sunset
Mourningとは喪のこと。
喪が終わり、この世の闇が終わったという話を元に作曲されたそうです。
骨太なベースの支えで山登りをするようなワイルドな曲ですが、ピアノによるクールな格好良さも備えてあります。


4.Evening Star Song
流れるようなゆっくり目の曲です。
ベースでメロディを鳴らし、ピアノが同じメロディを追従します。


5.Luc's Lantern
このCDのジャケットは、この曲の説明文に由来しています。
「紫色と白色の歯(葉ではない)が黒い木に生っているが、ランタンが導いてくれるから家に帰ることが出来る」という夢を繰り返し見る、と書かれていました。
この曲はフリージャズ的なカオスさを秘めていますが、ピアノは調性ジャズの演奏となっています。


6.Jaki
日本語の「邪気」のことかもしれません。
しかし、説明文ではJackiという綴りであり、その場合は人名に使われる単語ということになります。
また、ポーランド語でjakiとは「何」です。
よって、タイトルの由来は謎です。
説明文でも、「ブッカー・アーヴィンとマンハッタンで大きなピアノを弾き、その幸せな仲間以外に何もなかった場合、私は何を願うでしょうか?」としか書かれていませんでした。
気持ち良い4拍子が奏でるのが特徴で、このアルバムの中では三番目に好きな曲です。


7.Bud In Alphaville
直訳すると「アルファビルの芽」です。
アルファビルとはフランス映画の名だそうです。
説明文でも「レミー・コーションはどこですか?」などと文学の架空人物について書かれているだけで、曲名の由来は謎です。
この曲は、不安定さを醸しつつも骨太さが出ています。


8.Charcoal Flower
直訳すると「木炭の花」です。
スローでフリージャズ的な曲ですが、完全なフリージャズではなくピアノはやや調性的です。
「ゆっくりとしたワルツが私の右耳から月の隅に現れます。木炭の花が口を灰にして水を一口飲むのを見てください。」という、情景が思い浮かぶ美しい文章が添えられていました。


9.Phoenix
このアルバムでは唯一明るい調となっており、陽気な曲です。
どこかセロニアス・モンクを彷彿とさせるかもしれません。
4/4+3/4拍子です。

10.Candlesticks On The Lake
直訳すると「湖の上の蝋燭」です。
「冗談ではない。水は芯であり、味も良かった。」というシュールな文章が添えられていました。
この曲自体は短いので、すぐに終わってしまいます。
最後の締めに相応しい、ゆっくり目の曲です。

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