土屋健「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」、読了。

(Facebook投稿記事)

 

土屋健「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」、読了。
生物ミステリープロというシリーズの第1巻となります。

なお、私は先に第2巻「オルドビス紀シルル紀の生物」を読んでしまったので、今回は逆に歴史を辿ることになりました。
この本も面白くて、時間が経つのを忘れてしまうほどでした。
しかも、ちょっとマニアックな生物になると、Googleで検索しても出て来なかったりします。

最初にざっくりと言っておきますが、だいたいエディアカラ紀が6億年前、カンブリア紀が5億年前となります。
エディアカラ(約6億年前)→カンブリア(5億)→オルドビス(4.5億)→シルル(4.2億)となっております。
そして、シルル紀までの時代では、ほぼ全ての生物が海中に生息しております。
なぜなら、シルル紀にクックソニアという植物が生息するまでは、陸上に植物が生息していなかったため、乾燥が酷くてとても生き物が棲める場所ではなかったからです。
なお、化石の採掘場所で有名なのは、カナダのバージェス頁岩動物群や、中国の澄江(チェンジャン)動物群、グリーンランドシリウス・パセット動物群、オーストラリアのエミュー・ベイ動物群、ロシアの白海などで発見されています。
ただ、この頃の地形は今と違っており、今の亜熱帯ぐらいの緯度の所に当時のグリーンランドの位置があったりします。

さて、カンブリア紀食物連鎖の王者であるアノマロカリスという古代生物は有名ですが、アノモリスが「奇妙な」、カリスが「エビ」なので、「奇妙なエビ」という意味のラテン語名になります。
アノマロカリスは最大で推測2mのものが発見されております。
ただ、私が幼少期に見たテレビではもっと茶色い虫のような恰好で登場していましたが、近年の研究によってもっとカッコいい姿であることが判明したそうです。
アノマロカリスの目は複眼になっており、大きくて、ナメクジのような柄が付いております。
この「目」の発達もカンブリア紀の進化の特徴であり、光を識別する能力があることによって獲物を見つけたり外敵から逃げたり出来るため、そういう生物が生き残って行きました。
ただ、アノマロカリスの棘付きの口(顎)は、意外と柔らかいものしか食べられないため、三葉虫のような炭酸カルシウム(貝殻の素材)で出来た身体は食べられないことが分かっています。
主に、蠕虫のようなものを食べていたと推測されます。
そして、アノマロカリス類には、他にもラッガニアなどの様々な種があります。

そして、カンブリア紀三葉虫も色々な種がありますが、オルドビス紀のものに比べて旧式の形をしております。
一番有名であり、かつ出回るほど数が多かったものは、エルラシア・キンギイという三葉虫です。

なお、ハルキゲニアくらいの生物になると、もうマニアの人しか知らない世界になるかもしれません。
一応、高校の地学では習うことになっているのかもしれませんが、高校時代に文系を選択した私は一度も聞いたことがありませんでした。
ハルキゲニアは、背中側に2対の長い棘が列をなしており、下の方にあるたくさんの脚で動きます。

ウィワクシアという虫は、全身が鱗で覆われており、かつ、レーザーディスクのような虹色に光っていたことが判明しております。

また、ハルキエリアという生物がいて、これもまた古生物学では重要な位置を占めてくるのですが、前述したハルキゲニアとは全く別の生き物です。

そして、ピカイアは有名だと思いますが、遊泳するナメクジのような生物であり、大きなもので6cmほどになります。
ただ、ピカイアという脊索動物が魚類の祖先(つまり、人間の祖先)だとされていた説は、近年間違いであることが証明されました。
なぜなら、澄江動物群にて、ミロクンミンギアという最古の魚類(脊椎動物)が発見されているからです。

以上、ここまでは全てカンブリア紀生物の説明でした。
一方で、その前のエディアカラ紀というのは、どうだったのでしょうか?

そこには、貝の肉のような生物や、葉のような肉食生物、クラゲのようなクラゲ類ではない生物などが生息していました。

肉だけの貝みたいなディッキンソニアは、大きなものだと1mほどのものが発見されております。
エディアカラ紀の生物は皆、海水からプランクトンを濾し取って食べていたそうです。
私の師匠にディッキンソニアの挿絵を見せたら「美味しそうだね」と言っていたのは、なかなかシュールでした。

また、ランゲオモルフ類というのは、一枚の葉のような、羽ペンとペン立てのような生物です。
カルニオディスクスなんかがそうです。
ただ、これは植物ではなくて、プランクトンを食べる肉食動物に分類されます。

プテリディニウムは、ナミビアのナマ動物群で大量に発見された、舟型の生物です。
ただ、分類は謎のままです。

この古生物学というのは、現在もなお発展途上です。
私が幼少期に図鑑やテレビで見ていたものと違っていることもたくさんありました。
発展途上ということは、アツい分野なのです。

 

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