土屋健「オルドビス紀・シルル紀の生物」、読了。

(Facebook投稿記事)

 

土屋健「オルドビス紀シルル紀の生物」、読了。

技術評論社の「生物ミステリープロ」というシリーズの第2巻にあたります。

 

全ページにカラー写真が施されており、本文は133ページと少なめで、にも拘らず古生物学の要所がコンパクトに纏められております。

とにかく面白くて、時間が経つのも忘れてしまうほどです。

 

さて、この本ではまず「三葉虫だけでこんなに種類があるのか」と驚かされます。

遊泳性のものや、目がカタツムリのように二つの触覚から成るものなどがあります。

 

オルドビス紀には前のカンブリア紀以上の規模で生命爆発が起こります。

オルドビス紀食物連鎖の頂点に立ったのは間違いなくチョッカクガイ(カメロケラス)であり、最大で11mにも達する化石まで発見されております。

 

また、次のシルル紀というのは海中生物が大きく発展していきました。

シルル紀というのは他の紀に比べるとやや短いのですが、とにかくアツい時期なのです。

 

そして、ウミサソリもかなりの種類があります。

オルドビス紀のメガログラプトゥスはいわゆる旧型の形をしていますが、シルル紀になるとスマートで格好良い形に進化するのです。

ウミサソリの最終進化系はプテリゴトゥスという種で、何回聞いても名前を覚えられませんが、体長は最大で推測2.5mほどのものまであります。

 

なお、イングランドウェールズの国境付近にヘレフォードシャーという場所がありますが、シルル紀にはこの場所で火山噴火が起き、海中に降り積もった火山灰のノジュール(石の塊)からは、本来なら化石に残らない部分まで発見されております。

発見された中で最古の雄の生殖器を持つカイミジンコの化石まであります。

 

そして、シルル紀には初の陸生植物も誕生し、それはリニア属のクックソニアというものです。

それまでは苔くらいはあったかもしれませんが、陸地は文字通り「不毛」の地帯であり、乾燥に強くないと生命が生きられなかったのです。

このことが、次のデボン紀にて脊椎動物の上陸へと繋がる伏線となっております。

 

なお、この本のシリーズにて、私はこの第2巻しか読んだことがありません。

しかし、ここには書ききれないくらいに、とにかくマニアックな知識欲を駆り立てられる本でした。

平行植物しかり、自分はこういうのが好きなんだろうなと思いました。

 

https://www.amazon.co.jp/オルドビス紀シルル紀の生物-生物ミステリー-生物ミステリープロ-土屋-/dp/4774160857