土屋健「古第三紀・新第三紀・第四紀の生物 上巻」、読了。

(Facebook投稿記事)

 

土屋健「古第三紀・新第三紀・第四紀の生物 上巻」、読了。
生物ミステリープロの9巻目です。
あと一巻で、全巻読了となります。

時は6600万年前になり、進化が進んで今いる動物に近づいて来ました。
恐竜は絶滅してしまい、哺乳類の時代となります。
ただ、一応、恐竜の中で生き残ったものが一つだけあって、それは鳥類です。
プミリオルニスはカッコウ類またはオウム類とされ、花の花粉を運ぶ「鳥媒」の証拠が残っているものでは最古の化石となります。
また、ガストルニスという大型の飛べない鳥もいますが、肉食性だと思われていたものの、ガストルニスのものではないかとされる足跡化石リバビペスには猛禽類に見られるような鋭い鉤爪がないため、近年では植物食性だった可能性があるとされています。
そして、鳥類が海に進出し、ワイマヌやカイルクなどのペンギン類が登場します。
しかし、現在のペンギンよりも首が長いため、ペリカンに近い感じもします。
また、ホッカイドルニス・アバシリエンシスというペンギンモドキ(プロトプテルム類)は、北海道の網走にある地層から発見されました。

そして、最古のウマ類として知られるヒラコテリウムも出て来ます。
馬というよりは、角のない鹿のような姿をしており、頭胴長50cmとかなり小型です。

皆さんご存知のサーベルタイガーも登場します。
タイガーと付いていますが、ネコ類に近いか、もしくはネコ類です。
見た目はほぼ虎です。
スミロドンなどが恐らく一番有名なサーベルタイガーでしょう。
この頃の猫(英語ではサーベルキャットという)は、爪先から踵までを地面に接地して歩く蹠行性(しょこうせい)の動物です。
一方で、爪先だけを接地させて歩く趾行性(しこうせい)のネコ類は、これよりずっと後の時代になってそう進化しました。
また、犬と猫の共通祖先に近縁とされるのはミアキスという動物で、イタチのような恰好をしておりますが、蹠行性なので足の裏を完全に地面に付けて歩いておりました。
そして、最も古いイヌ類のヘスペロキオンなども出て来ます。

羽子板のような角を持っていたブロントテリウム類は、サイに似ています。
しかし、普通、サイの角は毛の集まりで出来たものです。
ブロントテリウム類の角は、化石に残っているように骨の角なのです。

さて、一番紹介しておきたいのは、鯨の祖先が誕生したことです。
ムカシクジラ類がそれです。
ただ、最初の鯨の歯の形は、今の鯨のようなひげ板の歯は存在せず、普通の鋸歯となっております。
鯨偶蹄類のインドヒウスは、見た目はただのイタチですが、哺乳類が海に進出するという意味での最古の鯨の祖先とされています。
その後、パキケトゥスという最古のクジラ類である、ムカシクジラ類が誕生します。
そして、ムカシクジラ類のアンブロケトゥスという種に進化し、ラッコが鋭くなったような感じの生き物になります。
そして、手がかなり短くなったクッチケトゥスは、細長いイルカのようです。
(ちなみにイルカはクジラ類です。)
そして、ムカシクジラ類はかなり細長く大型なバシロサウルスになります。
サウルス(トカゲのラテン語)と付いていますが、トカゲとは無関係です。
昔の研究者が間違えてそう名付けてしまったが、今更学名を変えるわけにはいかなくなってそう呼ばれているのです。

この、「インドヒウス→パキケトゥス→アンブロケトゥス→クッチケトゥス→バシロサウルス」は、時間があれば是非名前を画像検索して貰いたいものです。
「全然鯨じゃないじゃん!」と驚かれるでしょうが、鯨の祖先なのです。
皆、知らないでしょうが、読書を趣味にすると時々こんなロマンが転がっているのです。

ちなみに、歯がひげ板のものはヒゲクジラ類と言われ、最初はひげ板と鋸歯が共存していたりしますが、その後でひげ板のみのヤマトケトゥス(日本で発掘された)になったりし、これらの流れを汲んでしっかりと古代に登場しています。

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