土屋健「白亜紀の生物 下巻」、読了。

(Facebook投稿記事)

 

土屋健「白亜紀の生物 下巻」、読了。
生物ミステリープロの8巻目であり、あと2冊でコンプリートです。

 

この巻に入ってやっと、かの有名なプテラノドンやティランノサウルス、トリケラトプスが出て来ました。

 

翼竜類では大きなトサカを持ったものが登場します。
ツパンダクティルスやタペジャラなどです。
今まではこの二つが近縁の種だとされていましたが、2007年の研究結果により、ツパンダクティルスはツパンダクティルス属に属し、タペジャラはタペジャラ属に属することが分かりました。
ツパンダクティルスの翼開帳は3mほどです。
一方で、タペジャラの翼開帳は1.5mほどであり、昼夜問わずに行動できる目を持っていたことが分かっています。

 

なお、プテラノドンは翼開帳6mほどで、歯はなく、トサカはあります。
しかし、翼竜のトサカが何に使われたのかは未だに分かっていません。

 

逆に、生きるために必要がなくなって翼を失った鳥もいました。
ヘスペロルニスがそれであり、細かい歯を持った鳥でした。

 

アンモナイトでは、埋もれていた時に周囲の地層から受けた影響により、宝石のような虹色を放つ化石「アンモライト」があります。
プラセンチセラスという種の化石がそう呼ばれています。

 

ワニ類では全長12mもあるデイノスクスが登場します。
ワニのような淡水に生息する生物は、白亜紀末期の大量絶滅に関しては比較的生き残る傾向が強かったそうです。

 

鮫の仲間ではクレトキシリナが登場し、全長は5~6m、最大で9.8mという推測値もあります。

 

さて、白亜紀の大陸はウエスタン・インテリア・シーを挟んで、西にララミディア、東にアパラチアがありました。
今でいう北アメリカの場所です。
当時あった植物としては今の日本で見かけられるものも多く、クスノキモクレンなどが生えていたそうです。

 

ララミディアで活躍した恐竜たちが、上記に述べたような有名なものです。
その一つであるトリケラトプスもいました。
成体では8mほどでしたが、幼体の化石も発見されています。
また、世界最良の質を誇るトリケラトプスの化石も発見されており、国立科学博物館に所蔵されています。
なお、トリケラトプスは幼いうちは集団で行動し、成体になると単独で行動していたことが分かりました。
そして、三本の角と、それから頭骨のフリルにあるギザギザは、成体になるにつれて小さくなっていくことが分かっています。

 

ティランノサウルスは、本当に恐竜の王者でした。
全長12m、体重6tと推定され、奥歯で噛む力は3万5000Nだったそうです。
(ちなみに、現生のアリゲーターの噛む力は4000Nにも及びませんし、ヒトは1000Nほどです。)
嗅覚も物凄かったそうで、獲物を匂いで見つけることが可能でした。
また、1990年に発見されたティランノサウルスの「Sue」という化石は、全身の保存率が73%と最高品質であり、アメリカのフィールド博物館に展示されています。

 

アルゼンチンにも恐竜はいました。
アルゼンチノサウルスは全長30mもしくは36mと推定され、世界最大級の恐竜であり、体温は48℃もあったと推定されています。

 

南極にも、アンタークトペルタと名付けられた鎧竜類の化石が発見されています。
しかし、歯などの一部の化石しか発見されていないため、この恐竜の全身復元像は推定困難とされています。

 

さて、生物の大量絶滅は「ビッグ・ファイブ」と名付けられています。
白亜紀末期の大量絶滅は、そのうちの最後とされています。
その白亜紀の絶滅を「K/Pg境界絶滅事件」と呼びます。
簡単に言うと、白亜紀(Kreide)と古第三紀(Paleogene)の略です。
そして、メキシコのユカタン半島には、巨大な隕石の衝突した跡が残されています。
その際に、地球には殆ど存在しないはずのイリジウムが、あらゆる場所のK/Pg境界地層から発見されています。
そう、隕石衝突説は正しかったのです。
しかも、隕石が衝突したのは炭酸塩・硫酸塩の多い場所だったため、二酸化炭素と硫黄が撒き散らされました。
当たり所も悪かったのです。
海洋は酸性化して生物の殻が溶け、また、エアロゾルのせいで太陽光が届かず植物は育たなくなります。

 

ちなみに、このK/Pg境界絶滅事件を生き延びたものが、次の古第三紀以降に活躍することとなります。
哺乳類などが生き延びました。
アンモナイトは絶滅しましたが、オウムガイは生き残りました。
アンモナイトの卵は小さめであり、大量に産まれる仕組みでした。(r戦略と言います。)
一方で、オウムガイの卵は直径20mmと大きめであり、少数が産まれる仕組みでした。(K戦略と言います。)
アンモナイトの卵は海中で浮遊するが、オウムガイの卵は浮遊しませんでした。
浮くか否か、それが問題だったのでは?という意見もあるそうです。


かくして、中生代はこれで終了となり、次は新生代の時代となるわけです。

 

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