誰かが言った、「世の中に、ハイデガーほど難しいことを考えた人はいない」。
いや、そんなことないでしょう。
詩の世界なんかは、本当に難解です。
なんせ、大学で教えている翻訳者の人が、さじを投げるほど。
今回読んだ、ロシア人女流詩人である「アフマートヴァ詩集」も、解説ではアフマートヴァ氏の経歴について詳しく書かれているだけで、詩の内容についてはスルー。
つまり、翻訳者は降参したんでしょうよ。
あまりにも意味不明すぎて。
どだい詩というのは、一文一文にぎゅっと文字を押し込めるから、作者が解説してくれない限りは情報量が少なすぎて、必然的に意味不明なものになり得るんだよ。
で、「これは何を言っているのかなぁ」と想像を膨らませながら読むのが、詩の楽しみの一つだったりするんであって。
ただ、群像社の本は、ロシア文学好きには垂涎ものの本が多そうで何より。
以下、Facebook投稿記事↓
「アフマートヴァ詩集」木下晴世訳、読了。
作品は「白い群れ」、「主の年」の二つです。
この作品は、ちょっとよく分かりませんでした。
内容を吟味するため、同じ詩を二度ずつ読んだのですが。
おそらくは、上手くいかない結婚生活に加え、自然の風景や、街中などにありふれた「どうしようもない寂しさ」をメインに書いたものと思われます。
ちなみに、この人は生涯に亘ってスターリン政権を批判していますが、この作品が出来たのはそれ以前の時代です。
(引用)
黒ずんで歪んだ丸木橋
ごぼう草が人の丈までのびて
鬱蒼たる蕁麻(いらくさ)の森がうたい
通りぬけもできず鎌も光らない
日暮ごとに湖上で聞える吐息
壁を這いくねる蘚(こけ)
私は迎えようとしていた そこで
二十一の年を
口に甘かった
黒い濃い蜜
枯枝が引き裂いて
ドレスの白い絹を
歪んだ松の枝で
鴬は鳴きやまず
合図の叫びで
穴から出てくる
森の妖精(レーシィ)のように荒々しく
妹より優しげに
山を駆け
川を泳ぎ
そう それで そのあとは
やめてなんて言わない
No.288、1916年 夏
https://www.amazon.co.jp/アフマートヴァ詩集―白い群れ・主の年-群像社ライブラリー-アンナ-アフマートヴァ/dp/4905821614