「清少納言は、気に入った音を帳面に書き残していた。一番気に入った音は、黄昏時から日が完全に沈むまでの間に、牛車が歩く音だった。」
これは、キニャール「音楽の憎しみ」に書いてあったことだが、今その本は貸しているので原文そのままではない。
さて。
キニャールやアフマートヴァ、レオン=ポール・ファルグ、アルベール・ジローなどはマニアックすぎて、話の合う人がいないんだ。
有名なマラルメやボードレールですら、読んだことある人が周りにいない。
なので、私と趣味が合う女のお弟子さんに本を貸したり、Facebookに時々こういう文学の良いとこ取りしたのを投稿したりして、芸術家の卵たちを育てているんだ。
私は、かの有名な雑誌の元編集長と知り合いなんだけど、その人も「僕、難しいの大っ嫌いだよ」と言って、食わず嫌いをしている模様。
何を言っているんだ、難しいものの中にも心を動かされるような良い文学は存在するだろうに。
私にとっての良い文学は単に良い文学であり、あなたから見た難しいか簡単かの基準は、他の人間には当て嵌まらないことも大いにあるんだよ。
これは私の、現時点での正直な思いだ。
それにしても、清少納言の審美眼は本物だろうね。
春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて(早朝)。
次に読む本は、枕草子かな。
そして、清少納言ってのは破天荒な女だったらしいね。