以下、谷田貝豊彦「光の百科事典」p.580の、まとめ。
【光の散乱について】
波が物に当たると散乱される。
光も電磁波という波。
なので、光も物に当たれば散乱される。
電磁波は進行方向と直角に、電場と磁場の成分を持っている。
電場と磁場が、媒質と相互に作用することで、散乱が生じる。
その媒質が同じように揃っていなければ、散乱が起きる。(その媒質が同じように揃っていれば、散乱はない。)
波が物に当たるというのは、物の側にて媒質が同じように揃わなくなり、物の表面で物理的な条件(境界条件)が生じなくてはならない。
散乱を理論的に考える場合、散乱する物(散乱体)として、球が扱われることが多い。
なぜなら、解析的に解けるから。
「電磁波の球による、散乱の厳密解」は、1908年にドイツのグスタフ・ミーが示し、その名にちなんでミー散乱という。
それより前の1881年に、イギリスのレイリー男爵ジョン・ウィリアム・ストラットは、空が青いことを示すために、波長が球の半径より遥かに長い場合の近似解を得ていた。
このような場合の散乱はレイリー散乱と呼ばれる。
それによると、散乱の度合いを示す散乱断面積(散乱波のエネルギーと、入射波のエネルギー密度の比)が、波長の4乗に逆比例する。
さらには、白色の太陽光の入射に対し、青系の短い波長の光ほど強く散乱され、空が青く見える。
(まとめ、終わり)
最後の2行「それによると、」~「見える。」の箇所は、このままの文だと意味不明でしたので、調べました。
https://photonterrace.net/ja/photon/behavior/
「散乱」というのは光子の動きのうちの一つで、他には「吸収」、「透過」、「屈折」、「反射」などがあります。
レイリー散乱について学ぶ際には、そのうちの「散乱」だけに焦点を当てます。
そして、媒質が同じように揃っていれば反射が起き、不揃いならば散乱が生じます。
Wikipediaの数式には、散乱断面積σが波長λの4乗に逆比例していることが書かれています。
つまり、「散乱の度合いは、波の長さに反比例する」ということです。
赤い光波は、散乱しにくい。
青い光波は、散乱しやすい。
紫の光波は、もっと散乱しやすい。
(短い)紫・青・水色・緑・黄・橙・赤(長い)
(散乱しやすい)紫・青・水色・緑・黄・橙・赤(散乱しにくい)
なお、散乱断面積については、下記↓が分かりやすいです。
(ここは中性子研究のサイトらしいので、「中性子」という単語をそのまま「光子」に変えれば良いと思います。)
散乱断面積=光の散乱しやすさ
吸収断面積=光の吸収しやすさ
光が矢で、断面積が的。