シリーズ現代の天文学1巻「人類の住む宇宙」、読了。

(Facebook投稿記事)

 

シリーズ現代の天文学1巻「人類の住む宇宙」、読了。

 

思っていたよりも長距離ランでした。
何の偶然か1年の日数と同じ数である365ページ分ありましたが、これは理系本なので文学の365ページよりも時間が掛かると思っていた方が良いでしょう。
ただし、この巻には数式はあまり登場せず、殆どは文章による説明に終始していました。
なお、内容は幅広く、天文学の歴史から始まって、天体や銀河の形成についてや、元素の起源(崩壊と融合)、天文観測の仕方(ドップラー法とトランジット法など)、地球の気象学、地球外生命の存在可能性(主にドレイク方程式とその改め)についてや、日食や月食、更には暦の歴史までもが盛り込まれています。

 

内容ですが、特に印象に残っている部分だけを掻い摘んで載せたいと思います。
というか、この本の内容は濃いので、せいぜい同じことをネットなどで検索した際に「ああそうだったな」と思い出す程度であり、私は天才ではないため一回読んだだけではその程度にしか使えません。

 

さて、宇宙研究といえばあの白くて大きなパラボラアンテナをイメージされる方もいるかと思いますが、私だけでしょうか?
私はあのパラボラアンテナが何に使われているのかずっと疑問でした。
それは、簡単に言うと電波望遠鏡なのです。
実は、宇宙からは我々の目に見える光だけではなく、我々の目には見えない電波・赤外線・紫外線・エックス線も届いているのです。
その中で、電波をキャッチするのが電波望遠鏡(白くて巨大なパラボラアンテナ)なのです。
それを人間の目の構造に例えるならば、光を集める目の水晶体にあたる部分がアンテナであり、像を結ぶ網膜にあたる部分が(電波を電気信号に変える)受信機となります。
ちなみに、受信機はアンテナの下の太い軸の部分にあります。
そして、チリのアタカマ高原には「アルマ望遠鏡」といって、東アジア・北米・ヨーロッパが共同開発して設置した66基のパラボラアンテナ(口径7~12m)があります。
このアルマ望遠鏡は、電波望遠鏡の一つである「電波干渉計」に属します。
つまり、66基のパラボラアンテナは独立しているのではなく、互いに干渉し合って観測しているということです。
アルマ望遠鏡では、波長数mmのミリ波や、それよりも波長の短いサブミリ波を集めることを実現させ、それにより高解像度の宇宙像が現像出来るようになりました。
(まあ、この辺のことは、アルマ望遠鏡の公式サイトを見るとかなり分かりやすくかつ詳細に説明されています。この本では深入りした説明をすっ飛ばしているため、却って理解しにくいと思いました。)

 

あとは、私が個人的に好きな金星について。
金星は、自転がめちゃくちゃ遅い(243日)のに対し、空気の流れはめちゃくちゃ速い(スーパーローテーション)のですね。
地球だと、低緯度がハドレー循環、高緯度が極循環、中緯度がそれら二つの影響を受けてフェレル循環を形成しております。
しかし、金星の対流循環は一つだけであり、その対流が金星全体を覆っており、4日で星を一周します。
なお、金星の自転と公転は地球とは逆方向であり、かつ1昼夜は117日もあります。
しかし、金星に着陸出来た人工衛星はかなり少ないため、まだまだ分かっていないことが多い星でもあります。
まあ、かなりの高温で覆われた星なので、人間が住めるわけはないでしょう。


更には、写真1枚目にある太陽系誕生の歴史について。
これは「標準モデル(京都モデル)」と呼ばれる推測であり、現在ではこれが有力な説となっております。
原始太陽が回っていると、重力によって水素やヘリウムガスが帯状に集まって来ます。
ところが、水素は重水素になったりするなど、元素崩壊を何度も起こしてだんだん重い元素へと進化してゆくのです。
ちなみに、水素は最終的には鉄へと進化しますが、鉄のないガス惑星もあります。
そうやって、重力を持った元素たちが集まって惑星や恒星が誕生し、今の太陽系が完成したという説です。

 

最後に、写真2枚目にあるアナレンマについて。
毎日同じ時刻の太陽の写真を撮り、それらを重ね合わせると、太陽位置の軌跡が8の字を描いたようになります。
これをアナレンマと呼び、8の字は1年で一周します。

 

あとは...私が忘れてしまったのですが。
もしかして、月と地球の距離は一定に保たれており、月が離れると地球も月を追って近づいてゆくのでしょうか?(双方の遠心力の作用によって。)
そこを忘れてしまいましたが、どのページに書かれていたのか分からなくなってしまいました。
ただ、それとは関係ない話ですが、もっと長い目で見ると月は1年で3cmほど地球から遠ざかっております。
なぜなら、遠心力は外向きの螺旋状を描くからだそうです。
そして、大昔の方が月は大きく見えていたのです。