WavepadっていうフリーソフトをPCに入れた。

まず、イェルク・デームスさんが演奏したドビュッシーの「月の光」の周波数分析を見てみて驚いた。

ピアノの音は、叩いた瞬間に18000Hzくらいの高周波が鳴り続けて、すぐに消えていく。(高い音を鳴らすほど、その高次倍音が鳴る。)

音階でいうと最高音のドでも4186Hzなので、18000Hzといったら高次倍音ということになる。

ちなみに、2万Hzくらいの高周波と15Hzくらいの低周波が常に鳴っているのは、ホールによるもともとの雑音。(ピアノが無音状態の時でもそれが常に鳴っている。)

なので、そこを考慮から外したら、ピアノそのものの音を分析出来るということになる。

 

他の曲も聴いてみた。

シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」の1曲目は、ピアノ、ヴァイオリン、人間の声、フルートで構成されている。

そのうち、ヴァイオリンが最も高周波が出やすく、高い音で奏されると2万Hz以上の倍音が出ていた。

次に、フルートと人間の声も、18000Hzくらいの高周波がピアノよりも大きく出ていた模様。

一方で、ピアノは主に低周波をカバーしている模様。

 

そして、ジャズであるSam Riversの「Precis」。

これはもう、サックスとドラムスが2万Hz以上の高周波を出していた。

ドラムスは、ドラムもシンバルも高周波を出す模様。

 

これにより、ピアノって高周波が比較的少ないんだなっていうことが分かった。

どちらかというと、ピアノは低周波をカバーする模様。

 

ただし、これらは皆マイクで録音されたWav.ファイルであって、生音をそのまま人間の耳で聴いたわけではない。

ただ、生で聴いてもおおよそ同じような波形の聴こえ方をすることだけは確かだ。

でも、そのわずかな違いがデカいのも確かであり、だからこそ生演奏の方が素晴らしいのだ。

 

ちなみに、ヘミシンクのCD音源は、14000Hz以上の波形がおかしい。

普通はギザギザなのに、やや真っ直ぐな波形となっている。

人工的に高周波を出している感じが分かる。

 

 

追記:

これを書いた直後、本を読んでいた。

パスカルキニャール「もっとも猥雑なもの」のp.51。

「あらゆる存在は、別の存在のなかに見出される、魅惑的で、絶えずおのずと消滅するような小さな信号(シグナル)をもとに生きている。人間はみなその信号を探し求めることに自分の生を費やし、その信号を自分のものだと考える。人はいつも自分の夢からの目覚めを繰り返しているようなものだ。」

まさに、今書いたこの記事と内容がシンクロしている感じ。

だから人は、音楽や人間の声を求めるのだろうね。

ちなみに、キニャールは昔、オルガン奏者だった時期がある。