また「ピエロ・リュネール(月に憑かれたピエロ)」の話に戻るが。
「Ivresse de Lune(月に酔う)」という題名の詩の二行目辺りの所を、私は最初「月の光の緑の波は」と訳していたんだけど。
結局、「月光の波は草木に波打ち」と訳し直してしまった。
しかし、今、その確信が崩れて来ていて、どっちが正しいのかが分からない。
「vert(緑)」という単語が、草木に映った月光なのか、それとも月光そのものが緑色なのか、私には分からなくなってしまった。
その理由としては、実は太陽光線というものは0.5μm辺りの波長が一番強いのだ。
この辺りの波長を色に置き換えると、緑色や黄色が当てはまる。
月は太陽光の反射で輝いているので、何かの条件が揃った時、月光が緑色に見えてもおかしくはない。
現に私は、夜中、普段は白色の電灯や街明かりが、ある日、一斉に緑色に染まった所を見たことがあるのだ。
詩人アルベール・ジローは、もしかしたら私と同じく緑色の月光を見たのではないだろうか?